西村浩さんと半田をお散歩

まちづくり
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たのしあんは、建築家でまちづくりの仕掛人として著名な西村浩さんをお招きし、半田駅前を一緒にお散歩させていただきました。多くのまちや駐車場ばかりになっていった全国のまちを見てきた西村さんに、率直な意見や、たくさんの刺さるアドバイスをいただきました。

武豊町での西村浩さんの講演

2020年10月30日、愛知県知多郡武豊町の町民会館(ゆめたろうプラザ)で開かれた文化のまちづくりセミナーに、西村浩さんが講師で来られました。

▼西村浩の公共空間の使い方が変われば、ひょっとしたらまちは変わるんじゃないかと思っている今日この頃のお話

たのしあんメンバーも数人声をかけて参加しました。

西村さんは、佐賀県出身で、地元の呉服元町の商店街の空き地に人工芝やコンテナハウスを置いて社会実験的に人の動きを仕掛け、さびれた商店街に子どもや子育て世代を呼び込むような流れを作ってきました。その手腕や会社の敏腕なお仲間の力は、全国で必要とされ、「やってみるしかない」と多くの街に勇気とはっぱをかけています。

様々なメディアで西村さんのお話は聞いて、面白いなあと思っていたのですが、実際のお話もものすごくこのコロナ禍で刺さる刺さる。会場にいた武豊町や半田市民みんなの心に火をつけてもらったようでした。

  • これからは、誰も答えの分からない「にぎわい」「活性化」という言葉は使用禁止!
  • 超人口減少、コロナ禍、経験したことのない世の中、右脳で考え、とにかくやってみるしかない。
  • 住民が当事者になれるか?行政はチャレンジを後押しできるか?
  • 使われていない公共空間を魅力的な暫定利用をすることで、即座にエリアの価値を上げ、その結果として賃料相場を上昇させる。そのチャレンジを循環させて初めて再開発の可能性が見えてくる。
  • 動的平衡
  • 暮らすように旅する
  • イベントにしちゃだめ。
  • 歩いて過ごしやすい街にして、不動産価値を上げる。
  • 将来、まちづくりのバトンを受け取るのは子どもたち。
  • 借金万歳!

書ききれないくらい多くの言葉が刺さりました。ノウハウを語る講習ではなくて、実際に街の人や行政と話しながら苦労してきた人の言葉は、重みが違いました。

 

西村さんとお散歩

そんな西村浩さんに、講演後、知多半田駅前にお泊りとの情報を聞き、お忙しい中ですが翌日一緒に半田駅前をお散歩していただくことをお願いして、半日ほど歩いていただく機会をいただきました!やばい!本当に感謝です。

せっかくの機会なので、半田市役所の偉い方にも声をかけてご参加いただきました。響いているといいな~(^^♪笑

名鉄知多半田駅~おおまた公園

お散歩は朝9時、名鉄知多半田駅からスタート。

ロータリーの作り方が下手だねえ(笑)

いきなり辛口です!!でも、市民全員が思っていることを言ってくれました…。

もっとコンパクトなロータリーにして、タクシープールもショットガンで飛ばせばいいからあんな風にはいらない。

真ん中の島…いらないね~あそこまでどうやって行くの?!(笑)

ですよね~。しかし、西村さんにバッサバッサ斬られていくのは、なんだか気持ちがいいです。

Pがいっぱいだね~(笑)

スッカスカだね~

芝生はって社会実験できるところたくさんある

そう、西村さんは建築課でありながら人工芝を敷いた社会実験を先進的に取り入れていたため、まだ時代がついてきてなかった頃は「芝張男(しば はりお)」と業界で揶揄されていたほど、人工芝の達人。

知多半田駅前は、コインパーキングや月極駐車場などの建物がない場所が本当に多い印象があります。お散歩の前に、西村さんはGoogleMapの航空写真をみて、バッチリ駐車場だらけの知多半田駅前をチェックしてくれていました。

しかし昨日の公園では、駐車場が多いイコ-ル暫定利用できる場所が多い、という前向きなとらえ方をしていかねばなりません!(;’∀’)

おおまた公園の植栽、邪魔だなあ。駅から歩いてきたときに、公園の中が見えないよ。これは、ない方がいい。

このご指摘に、市の建設部長さんが、

 

確かに…なんで公園ってこうゆうつくりなんだろう?

と、そもそもの公園の在り方を悩む。ちなみに後日、公園担当部署にあの植栽を切れないのかを聞いたところ、「地元から、ボール遊びなどをして外にボールが出ていかないようにしてほしいという要望を元にあのようにしている」とのこと。他に良い方法が見つかって、公園が外から見えやすくなると理想ですね。

 

路上でのお茶の焙煎

そして、歩いていると、知多半田駅前のお茶屋さん「得月」さんが、沿道でお茶を焙煎していて、いい匂いが漂っているのに気付いた西村さん。

こうゆうのがいいんだよ!

こんなところにお茶屋さんありましたっけ…

 

ここで焙煎しているの見たことない!

地元に住んでても、得月さんが路上で焙煎しているところなんて見たことある人がいませんでした。地域の方は見ているのでしょうか?

コロナ禍で沿道利用の規制が緩和されている時期柄、この焙煎の様子をとってもおもしろがってくれた西村さん。社会実験的にはアツイけど、警察との協議が大変で、でも社会は動いているというようなことや、道路端から何cmのところに点字ブロックをした方がいいなど、具体的なことをかなり熱く語ってくれました。

それにしてもいい香り!ご主人によると、

年に2回ほど、こうして焙煎している

とのこと。しかも中でお茶を味見させていただけるとのことで、奥様がお茶の美味しい煎れ方を教えてくれながら、披露してくれました。

1杯目は水を少し入れてぬるめにすると甘くなる。2杯目は熱湯で苦めに入れると味が変わる。

ほんとだ~!みんな、口々に感激。店内も古いレジや調度品が素敵。地元にいながら、じっくり地元の店のことを見る機会が少ないんだなと実感しました。歩いて探検するの、楽しいな♪

ここでかなりのんびりと時間を過ごされた西村さんはお茶屋さんでお茶を購入されていました。そして、その後、ご自身のFacebookでもこんな風に紹介されていました。

外からの目って、地元には本当に重要。

JRガード下をくぐると

そして、JR武豊線のガード下をくぐって、JR半田駅東側へ。

ガード下くぐると世界が変わるね。

へ~ 半田いいまちだね。

静かなJR半田駅前。私たちたのしあんは、このJR半田駅前が大好きなんです。西村さんが率直に「いいまち」と言ってくれたことが、めちゃくちゃ嬉しかったです。

でもその町のことで色々と悩んでいる私たち。行政もちょっと迷走中です。そんな中、西村さんはズバッと痛いところをついてくれました。

半田駅前は変に作りこまない方がいい。

「蔵の交番」とか絶対作っちゃダメ。

今あるものを活かして使わないと。

ギクッ

(実はそういう意見も出てた)

今、JR半田駅前は再開発が進みつつあります。令和2年度からJR半田駅の高架のための、仮の駅舎や跨線橋が作られつつあったり、区画整理地内の建物が順次壊されつつあり、じわじわと再開発の空気が広がっています。住民は、不安な気持ちを抱えています。

「知多半田駅前みたいになっちゃうの?」

綺麗になり、便利になった知多半田駅前。一方で、昔ながらのがやがやと楽しい雰囲気が失われ、長引いた区画整理は代替わりによって当初の予定以上に空白地が増えてしまったことで、住民は区画整理は「失敗」だったという印象を抱いている人も多いかと思います。

でも私たちは考えなければいけません。それは、行政によるハード整備が失敗したのでしょうか?ハード整備だけでまちがよくなると住民が受け身でいなかったでしょうか?それぞれの事情がある中で、その答えは当事者にしかわからないことかもしれません。でも、そこをJR半田駅前の区画整理や高架事業に際して、見て見ぬふりをして次へは進んではいけないと、たのしあんは考えています。

習慣を変えないと人は歩かないよ。

例えば御幸通りをイベントではなく1日歩行者天国にして、仕掛けてみる。

それを週1回にして、いつか毎日そうしてしまうくらいの実験を軌道修正しながら続ける。

具体的なイメージが、西村さんの頭には浮かぶみたいで、その言葉は私たちに勇気をくれました。

半田は和菓子屋やお茶屋が多いね

おおまた公園やその交差点や沿道をつかって、一緒に和菓子を売って、飲めるようにするといい。

知多半田駅前よりも半田運河あたりに泊まれた方が魅力がある。

静かだし、古い建物がいっぱいあって、泊まってみたい。使ってない古い建物で泊まれるようにしたらいい。

職業訓練とあわせて、古民家を使って宿泊事業をしたらいい。

例えば1か月みっちり酒造りを教えてやるから30万払えってやったら、外国人で本気で来たい人がいる。

しかもこのへんの建物だったら、泊まりたいって思うもん。

さて、一通り街歩きを終えて、当初1時間ほどを想定していた私たちでしたが、西村さんが心を込めてアドバイスくださって、優しく付き合ってくださった結果、3時間ほど一緒させていただくことができました。

半田運河から、最後お昼時だったので、お礼に豊場屋本店でランチへ。ビールを飲みながら、佐賀の事例や全国の様子を教えてくれました。

佐賀の事例は経済部商業振興課。

視察に行くとすごく自慢げに教えてくれると思うよ。最初は部長に『絶対失敗すると思った』って言われたけど、やらせてくれたことがよかったって退職前に言ってた。

西村氏が北海道の岩見沢駅を作った後に、故郷の佐賀から声をかけられ、まちづくりに関わることになったそうです。当時、イベント何をやってもうまくいかないから、と。かといって、新しいことに苦手な行政。市役所側では議会でうまく説明できないからと、西村氏と、コミュニティデザインの権威・山崎亮氏とが議会へ登壇し、説明して、やらせてもらえたんだそうです。すごい!

市役所と街の人との関わりも知りたくて、聞いてみました。

いいなと思う市役所って、どんな感じですか?

市役所では、だいたい業務後に活躍する若者公務員が多いところはおもしろくなる。

飲みに行って街の人とコミュニケーションとって、自分たちで物件借りて何かやってたりする。民間仲間と宿やったり。

その他たくさんの具体的なことを質問攻めしても、丁寧に、しかもおもしろく教えてくれた西村さん。めいっぱいいてくださり、知多半田からまた関東へ向かわれました。新幹線では翌日の学生コンペの資料を読みながら帰ったそうです。お忙しい中、本当にありがとうございました!!

いただいた言葉は、半田市役所の人や、たのしあんメンバーにとても響いて、その後の活動に大きな活力になっています。

また、西村さんや株式会社ワークヴィジョンズの皆さまとお仕事として関われたらいいなと思っています。ありがとうございました。

 

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